2025/09/13 16:00

今回は錦鯉の品種についてのお話。
錦鯉の品種って事細かに分けると200~300種くらいになってくるんですけど、その品種を大別した時主に二つのグループに分けることができます。
曰く、鱗があるか、ないか。
鱗がある鯉なんてのはみなさんお馴染みですよね。そう、いつも見ているあの鯉です。
ただ錦鯉の中には鱗を持たない、或いは一部にしか鱗を持たない品種というのがいまして、そういう品種を纏めて「ドイツ鯉」と呼びます(そのことから転じて鱗のある方の鯉を和鯉と呼ぶこともあります。所謂レトロニムですね)。
ドイツの名を冠する通り、鱗の持たない鯉の起源は中世のヨーロッパ、主に改良が行われていたドイツにあります。
ドイツでも鯉の養殖――主に食べる方ですね、が盛んでして。日本では美しさを求めて品種改良を重ねていったところ、ドイツの方ではいかに調理しやすく食べやすいか、を求めて品種改良をしていったそうです。で、突然変異で生まれた鱗のない鯉を固定化して、今のドイツ鯉が出来上がったという訳です。
日本にも明治頃になってドイツ鯉が輸入されるようになってきました。しかし当初は本来の目的である食用改良魚としての輸入だったそうです。
そして明治の末頃になってこのドイツ鯉に目をつけた秋山吉五郎さんという方がドイツ鯉と浅黄を掛け合わせ、錦鯉のドイツ鯉第一号、「秋翠」が誕生しました。以降日本の錦鯉とドイツ鯉の交配は盛んに行われ、今ではほとんどの品種のドイツ鯉バージョンが存在します。
品種の呼び方としてはドイツ〇〇(品種名)、〇〇のドイツ、みたいな言い方をします。知らない人が聞いたらなんのこっちゃですよね。
ドイツ鯉の特徴ですが、まずなんといっても体に鱗がない、或いはあっても一部ですから、模様の自由度がグンとあがります。
よく錦鯉の体はキャンバスに例えられますが、ドイツ鯉の体なんてのは正に真っ新なキャンバスで、その上にあたかも抽象画を描くように自由に、大胆に模様が乗ります。品評会に出品されているレベルの高いドイツ昭和なんかを見てみると、赤白黒の模様がそりゃもう複雑に混ざり合ってアート作品のような美しさがあります。
もう一つの特徴としては鱗ですね。基本的に体を覆う鱗はないんですが背びれ付近と側線部に鱗を持つ個体がほとんどで、その鱗がデカい。俗に「荒鱗」(アラゴケ)なんて呼ばれます。特に秋翠なんてのは見た目がシンプルですから、上から見た時の背びれ付近の荒鱗の並びがいかに均一であるかということを重要視されます。
最近ではこの荒鱗が体全体に出ている個体なんかも作出されていて、これ本当に鯉かよ、と思わず舌を巻く見た目をした鯉なんかもでてきています。いつか家でも取り扱ってみたい。
さてそんなドイツ鯉の代表的な品種としては、まずさっき言った「秋翠」、それから「九紋竜」、「輝黒龍」、「紅輝黒龍」、あとドイツ紅白の光り物の「菊水」、ドイツ三色の光り物の「平成錦」、辺りが固有の名称を持つ品種かな。なんか抜けあったら教えてください。
個人的には鯉に魅力を感じるポイントの一つとしてその均一な鱗並びがあるので、正直ドイツ鯉よりも和鯉の方が好きなんですけど、ただドイツ鯉はめちゃくちゃ横見映えする子が多いですね。秋翠なんてのは正にその代表格で、水色の地体に紅がどんと乗っている様はインパクト大です。自宅でも一本水槽に入れて飼ってるんですけど鯉を知らない人が見ると大体驚かれます。こんな魚いるの?って。
皆さんももしドイツ鯉を飼ったことがないよって方がいれば是非飼ってみてください。良いアクセントになりますよ。
皆さん、よき錦鯉ライフを!