2025/09/10 12:00

今日は家に購入した鯉が届いた時、どうやって鯉を水槽に入れればいいのか、その手順を詳しく解説したいと思います。
といってもこれから鯉を入れる水槽の状況によって、やり方は主に2つに分かれます。まず一つは他に魚が入っていないまっさらな水槽に入れる場合。もう一つは既に魚が入っている水槽に追加で合流させる場合です。前者は簡単。後者は、うーん、やり方を間違えるとこの合流がキッカケで鯉が星になっちゃう可能性があるんですよねえ。
まあまずは新しく立ち上げた水槽に鯉を入れるっていう場合。金魚飼育なんかでよく言われているのは水槽に水をはってフィルターを回した状態で1日くらい置いて、バクテリアがある程度湧くのを待ってから水槽に入れましょう、ってやつなんですけど、鯉の場合そこまで神経質にやる必要はないんじゃないかなって思ってます。というのも鯉は基本丈夫な魚で、どんな水質でも適応できる強さを持っている魚です。急激な変化には滅法弱いですけど。
水道水を使う場合カルキ抜きと、もしお金に余裕があるならばPSBとよばれるバクテリア剤、あとはプロテクトXっていう粘膜保護剤を規定量入れてあげるのがオススメです。これらの水質調整剤を入れたらばまずは鯉の入っている袋の水と水槽に入っている水の水温合わせをします。やり方としては袋のまま水槽に浮かべてあげれば袋の内と外で水温がだんだん同じになってきます。水温差にもよりますが大体10~20分やってれば合ってくるんじゃないかな。あ、上部フィルターを使っていて水槽の上に袋を置けるスペースがないよって人は適宜袋の封を解いて水を減らすなりしてから上記の方法をやってください。
さて水温が合ってきたら次は水質合わせ。これをどれくらい丁寧にやるかっていうのは人によって考え方が違うんですけど、まあ一番丁寧な方法としては、まず袋の水と鯉をバケツに移します。そしてそこにプロホースを使って(出口を絞るなりして)水槽の水をポチャ、ポチャ、と水滴を垂らすように少しずつ入れていきます。この状態で、そうですねえ、2,30分もやってれば元々袋にあった水量の倍くらいの水槽の水を入れることができると思います。ここまでやれば水温水質を完全に合わせることができました。最後にバケツから鯉だけを掬って水槽の中に入れてください。で、ここで注意してもらいたいのが「鯉だけを掬って」、ってところですね。というのも袋に入ってる水って遠くから運ばれる内に大分汚れちゃってるんですよ。少しでも元いた水を入れてあげたい……みたいな気持ちは分かるんですけどあまりやらない方がいいです。
さて、これで鯉を水槽に入れるの自体は完了ですね。
そして最後に水槽に塩を入れます。塩?塩ってあの?そう、あの塩です。
入れる量の目安ですが塩分濃度が0.5%になるように入れてください。これは水10リットルに対して塩50g入れるとこの濃度になります。仮に60cm水槽の場合、水量は約60リットル。300g入れる計算ですね。まあ目安ですけど。
これに関しては水質調整剤とかと違って多く入れちゃったら入れっちゃったでまあ別に問題ないって話じゃないんで、入れすぎると普通に死んじゃうんで、割としっかり水槽に入ってる水の量と入れなきゃならない塩の量を量って入れた方がいいです。ちなみにこの水槽に塩を入れることを塩浴と言います。
で、なんでこんな東洋の古くから伝わるおまじないじみたいなことをやるのかっていうと、鯉も人もそうですけど体のほとんどって水分でできてるじゃないですか。で、その水分っていうのはまっさらな純水ではなく塩化ナトリウム、つまり塩を含んでいます。人の場合塩分濃度は0.9%らしいですが鯉の場合は0.5~0.7%といわれています。そう、つまり水槽に塩を入れることで水槽の水と鯉の体内の塩分濃度を同じくらいにしてあげるんです。これによって水槽の綺麗な水と鯉の体内の水分が循環しやすくなります。急に水質が変わり、あまつさえ遠方から移動してきたストレスをこれで和らげてあげることができるんですね。
塩の入れ方なんですけど、鯉を水槽に入れた後に、なるべく鯉に直接は当たらないように直接水槽にドボンと入れます。塊になってても構いません。雑だなって思うでしょ、でも意外とこれが正解なんです。仮に水槽の水をバケツに掬って、そこで塩水を作って、そのバケツを水槽にジャー、だと水槽内の塩分濃度が一気に上がってしまいますよね。先にも言いましたが鯉は急激な水質の変化には弱いです。それよりも塊みたいな状態で入れてじわじわ溶け出していく方がストレスがより少なく済むんですよ。
で、この塩浴は期間を決めてやるみたいなものではないです。何日間かやったあと全換水して塩を抜いて、はい塩浴終了、とか絶対やめてください。以前水槽の管理方法で1週間に1回水槽の1/3を目安に換水する、ということを書きましたが、それによって少しずつ塩水を真水に戻していくんです。で、その間もし鯉の体調に異変を感じたら(体表,ヒレが充血するetc...)もう一度塩分濃度0.5%になるように塩を入れます。
あれでも待って、最初に塩を入れたけどあれから何回か換水しているから、今の塩分濃度って何%?塩何グラム入れればいいの?
そんなお困りのあなたにお勧めなのがこちらの「塩分濃度計」。水に付けるだけでその水の塩分濃度を測ることができます。でもお高いんでしょ?うーんペットショップで1~2000円くらいかな。一個持っておくと便利なので買っておいた方がいいです。
ちなみに換水の度に常に塩0.5%にしておくという管理方法もあるにはあるんですが、ちょっとでも換水をサボって水質が悪化すると一気に崩れる可能性があるのであんまりオススメはしないです。
さて、塩を入れ終わったらこれで導入の作業は完了です。言い忘れてましたが導入してから3日間くらいは餌抜きするのも忘れないでください。ストレスがかかっている状態で腸を動かすと体調を崩す原因になりやすいです。
鯉達は多分初めは環境に慣れてないので水槽の底でじっとしたり、急な物音や水槽の前を人が通ったりするだけでびっくりして暴れまわったりします。自分も最初はなんか間違ってるのかな、なにか環境を改善した方がいいのかなと心配になったりしましたがまあ大抵1週間もあればその環境に慣れて水槽内をゆったり泳ぎ回るようになります。こいつらの適応能力はバケモンです。あまり心配せずゆっくり見守りましょう。
と、ちょっと長くなってしまいましたね。既に魚がいる場所に合流させる方法についてはまた次回。
皆さん、よき錦鯉ライフを!